糖尿病は、血糖値を下げるインスリンを分泌する器官、「膵臓(すいぞう)」の働きが弱まることで起こります。
糖尿病の代表的な治療法に、次の4通りの方法があります。
- インスリンを外から注入する治療
- すい臓からインスリンを絞り出す治療
- すい臓の働きを回復させる治療
- 糖分を吸収されにくくする治療
この4つの中で、すい臓を酷使し、さらに疲れさせてしまう治療が1つだけ存在します。それは、すい臓からインスリンを絞り出す治療法です。
すい臓からインスリンを絞り出す治療の問題点
この治療方法では、アマリールやダオニールのようなSU剤が多く使用されます。最近はジェネリック薬品の処方が増えているので、グリメピリドや、グリベンクラミドなどという名前で処方されているかもしれません。
これらの薬を投与すると、すい臓には今まで以上に負荷をかけることになります。疲れ果て、インスリンを出す元気がなくなった「すい臓」を無理やり働かせる治療法だからです。
すい臓を無理に働かせ、負荷をかけると、さらにすい臓は疲弊していきます。すい臓が疲弊すると、さらにインスリンを出す機能が弱まっていきます。すると、もっとすい臓を働かせるために、薬の量が増え、すい臓はさらに疲れて弱っていきます。
この悪いサイクルに入ってしまうと、どんどんすい臓が悪くなり、薬が増え、糖尿病は悪化していきます。
SU剤は歴史のある薬で、安価なため、古い医師ほど好んで処方する傾向にあります。しかし、初期の治療から、このようなすい臓に負担をかける治療を選択すべきではありません。すい臓にまだ回復力が残っていれば、すい臓の機能が復活する可能性があるのに、それを捨てることになるからです。
すい臓を助ける治療から始めるべき
「すい臓からインスリンを絞り出す治療」以外の3種類の方法は、すべてすい臓を助けて、休ませることができる治療法です。
- インスリンを外から注入する治療
- すい臓の働きを回復させる治療
- 糖分を吸収されにくくする治療
「インスリンを外から注入する治療」では、インスリンを外から補うため、すい臓をたくさん働かせる必要がなく、すい臓を休めて回復させる時間を稼げます。
「すい臓の働きを回復させる治療」では、すい臓の機能が回復できるように薬によってサポートします。
「糖分を吸収されにくくする治療」では、薬によって、糖分の吸収を邪魔して、便として糖分を排泄させます。それにより、すい臓の負担を軽くし、回復を促します。
すい臓の回復力が、すでに失われていれば仕方ありませんが、少しでも可能性があるなら、こういった「すい臓」の負担を減らす治療を積極的に行うべきでしょう。
インスリンは効果絶大だが、大変な一面も
すい臓を休ませる治療法の中でも、「インスリンを外から注入する治療」が最も効果的にすい臓を休ませることができる方法です。ですが、インスリンを医師は中々使いたがりません。それには次のような理由があります。
- 注射に患者が抵抗感を示すから
- 急激な低血糖が起こる場合があるから
- 栄養指導や生活指導・インスリンについての指導が大変
などです。
インスリンでの治療中は、食事を規則正しく摂り、暴飲暴食を避ける必要があったり、激しい運動をする時にはインスリンの単位数を減らすなど細かい調節が必要になります。適当に治療を行っていては、急な低血糖や高血糖が起こり危険だからです。インスリン治療中は、低血糖が起こった時に、対処できるようにブドウ糖を薬局や病院でもらうことになるので、それを常時携帯します。
インスリンは、注射を自分で打たなくてはなりませんし、低血糖の症状に気付いた際にはブドウ糖を摂るなどの対処を自分で行わなくてはなりません。そういった「大変さ」からインスリンを使わず、飲み薬による治療が選択されることが多いのです。
糖尿病の治療が始まる前に
糖尿病と診断され、薬が処方されたら、まず医師に「どんなタイプの薬なのか」確認すると良いでしょう。患者を安心させるために、かなり内容をぼかした説明を行う医師も多いので、薬剤師にも同じように質問してみましょう。
もし処方されたのが、すい臓を酷使するタイプの薬で、医師や薬剤師の説明に納得がいかなければ、セカンドオピニオンも積極的に利用すべきだと思います。また、できるだけすい臓に負担をかけない薬を使用したいと伝えるのも良い方法です。
すい臓を疲弊させる治療を行っていては、血糖値のコントロールはできても、すい臓の機能が回復できる可能性はほとんどゼロです。他の治療方法を選択する余地は無いのか、治療を開始する前にぜひ確認してみてください。あなたのすい臓の機能が、回復する可能性があるかもしれません。
コメント