PPI(プロトンポンプインヒビター)とは
PPI(ピーピーアイ)は「プロトンポンプインヒビター」の略。胃酸を胃の内部出す、プロトンポンプを邪魔し、胃酸の出過ぎを抑える医薬品のことをいう。
代表的な医薬品に「パリエット(ラベプラゾール)」「タケプロン(ランソプラゾール)」「ネキシウム(エソメプラゾール)」などがある。
胃酸を抑える薬と言えば、従来はガスター10(ガスターテン)に代表される「H1ブロッカー(えいちわんぶろっかー)」しかなかったが、PPIの登場により胃潰瘍などの治療の範囲が広がった。
PPIの特徴
ガスターなどのようなH1ブロッカーとの一番の大きな違いとして、PPIは胃酸が出るポンプの部分を直接邪魔するということである。PPIは間接的な効果ではなく、直接的な効果なので、効き味が鋭いのが特徴。
豆知識
PPIは、切れ味の良い効果がある薬であるが、夜寝ている間には効果が薄くなるケースがしばしば見られる。そのため、夜間に症状が強くあらわれる逆流性食道炎「難治性の逆流性食道炎(Nocturnal Gastric Acid Breakthrough:NAB)」の場合には、PPIよりもマイルドな効果をもつH1ブロッカー(ガスターなど)を飲んだ方が効果的な場合がある。
豆知識 – 医療関係者向け
PPIとH1ブロッカーの併用について議論される場面は意外に多い。執筆時点では、PPIとH1ブロッカーを併用処方すると病院やクリニック側に返戻されることが多いようである。つまり、保険の対象外と判断され、PPI・H1ブロッカーの調剤にかかった代金を医療機関側が負担するケースが多くみられる。
PPIとH1ブロッカーは作用点において全く異質の医薬品であり、NABに対して併用することで治療成績も改善するはずである。さらに、PPIは薬自体の値段がかなり高く設定されている。したがって、PPIの増量よりH1ブロッカーを加えた方が治療効果が高いだけでなく、医療費の抑制・副作用の軽減にもつながることが見込まれる。
以前、降圧薬(血圧の薬)についても同じような議論があったが、現在では作用機序の異なる降圧薬について、併用が幅広く認められている。早い時期にPPIとH1ブロッカーの併用も保険適応となることが期待される。
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