デパケン(抗てんかん薬)とデパケンRの違い

質問

てんかんでデパケンを飲んでいます。デパケンとデパケンRの違いを教えてください。

というのも、転院の際、デパケン錠だったのがデパケンR錠という大きい錠剤にかわり気になったからです。

医師からの説明では、効果は同じだから問題ないとのことでしたが、錠剤の見た目もかなり変わったため不安です。

ベストアンサー

デパケン錠とデパケンR錠は成分は同じ薬です。効能・効果もほぼ同様です。

ですが、

「R錠は糖衣錠なだけ。だから同じように服用してよい。」

という誤った説明分をインターネット上で見かけますが、これは間違いです。

しばしばR錠と普通錠をあまり意識せず処方してしまっている医師も意外に多くおり、転院の時などに問題になります。

デパケン錠とデパケンR錠の違いとは

簡単に言うとデパケン錠とデパケンR錠は薬の吸収されるスピードが違います。

デパケンRの「R」というのは徐放という意味です。つまり、ゆっくりと穏やかに吸収されるため、血中濃度が一気に上がったり下がったりせず長時間にわたって安定した効果を発揮します。R錠はずっと効かしたい場合には最適です。ですが、即効性を期待する場合には向きません。

デパケンRとデパケンが使い分けられている理由

多くの場合、デパケンはてんかんの発作を起こさないために予防的に利用します。てんかん発作が起こると脳細胞にダメージが残るため、てんかん発作は予防することが大変重要です。

ですが、デパケンは特性上、人によって同じ量を飲んでも効き方が違うので、用量を細かく調節する必要がある薬なのです。そのためデパケン・デパケンRと使い分けが必要になる場合があるのです。中には1人に対して、デパケンとデパケンRを両方投与しているケースもあるほどです。

問題のある事例2つ

①転院の際に処方変更された

転院した際、デパケンR(徐放)を飲んでいた人がデパケン(普通)に処方変更されたケースです。

クリニックや薬局の採用薬にない、などの理由で勝手に処方変更されてしまう場合がしばしばあります。ですが、これは問題があると言わざるを得ません。

なぜなら、デパケンRは徐放性があるため、1日2回の服用でも血中濃度が安定しますが、普通錠を1日2回とすると血中濃度はデコボコになってしまうからです。血中濃度が高い部分では効きすぎ、低い部分では効果が薄すぎ・・・てんかん発作のリスクが上がってしまうことは想像に難しくありません。

②一包化の際に処方変更された

薬の数が多くなってくると服用の管理が難しくなり、一包化が必要になる場合がありますが、調剤で一包化する際、デパケン錠(普通錠)は一包化できません。(デパケンは吸湿性が高く、ヒート包装から取り出して時間がたつと空気中の水を吸って溶けてしまう)

デパケン錠は吸湿性のため一包化できませんが、デパケンR錠であれば可能なため、一包化するならと処方変更されてしまうケースがあります。※R錠は徐放のためのコーティングがあるため、一包化しても吸湿しません。

ですが、このケースも少々問題があります。

やはりデパケンは血中濃度が大切な薬です。もともと安定していた薬を安易に変更すべきではありません。

もし一包化が必要だとしても、できるだけ変更せずにデパケン錠だけは一包化からはずして処方する。一包化せざるを得ない場合は、デパケン→デパケンRに変更するのではなく、デパケン→バレリンに変更するべきでしょう。※バレリンはデパケンと同一成分・普通錠ですがコーティングされているので、吸湿しません。

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